【ダーウィンの追憶】ピグミーモウセンゴケ ”プルチェラ” にエサを与えて大きく育てる自由研究

ここに1冊の本があります。

「食虫植物 進化の迷宮をゆく」ー食虫植物の不思議を、進化の視点から解き明かす良書です。

「食虫植物は貧栄養の環境で生きるために、虫を食べるように進化した」と言う浅い理解を、二段も三段も深めることができる上、食虫植物、引いては「植物がどのような存在か」を考えさせてくれる知的好奇心をくすぐる一冊です。

この中にフランシス・ダーウィン(あの「種の起源」のチャールズ・ダーウィンの息子さんです)が行ったモウセンゴケの実験のことが書かれています。

なんでもモウセンゴケの虜になった父・ダーウィンの実験を引きついだフランシス・ダーウィンは、モウセンゴケに肉片を与える実験をしたところ、成長が促進されたと言うのです。

こんこっと。

え?
ちょっと待って!?

話を整理しましょう!

現在の食虫植物の栽培では、昆虫を与える必要は無いとされています。

何故なら必要な栄養は根から吸収できるから。
下手にエサをあげると葉が枯れることさえある、と聞きます。

こんこっと。

でも150年も前に、ダーウィンがエサをあげたらデッカくなったって言ってるよー?!?

これは確かめなくてはいけません。

名付けて「ダーウィンの追憶 モウセンゴケにエサを与えて大きく育てる自由研究」の始まりです。

” 自由の自由なる自由まみれの自由研究 ” の使用上の注意

本自由研究は、自由な問題設定のもと、自由な実験を行い、自由に考察するものです。
「そんな結果もあるんだね」という軽い気持ちで、ご理解いただけると幸いです。

目次

実験の準備

STEP
モウセンゴケの紹介

まずは主役の紹介です。

ピグミーモウセンゴケの「プルチェラ」です。
4株あるので、その内の一番小さな株(右下の赤い矢印)にエサを与えようと思います。

これでもし本当に大きさが逆転すれば、エサの効果は明白でしょう。

STEP
与えるエサについて

ダーウィンは、何か分からない焼いた謎肉を、毎週、捕虫葉1枚当たり1.3mg与えました。

では、今回の自由研究では何を与えるのかというと、「メダカのエサ」を与えることにします。

こんこっと。

150年前には、なかったであろう「メダカのエサ」です。

手軽で、安くて、おそらく消化も良いフレーク状のエサは、きっとモウセンゴケのエサにピッタリだと思います。

・・・知らんけど(笑)。

ピグミーモウセンゴケにエサをあげる自由研究 開始!

STEP
2025年8月9日
最初の状態です。

早速、エサをあげます。

エサはフレーク状と言いつつ、ほぼ粉です(笑)。

爪楊枝で、一枚の葉に、一欠けらづつ乗せていきます。

ミッション終了。
細かい作業ですが、意外と簡単にエサをあげることができました。
STEP
2025年8月10日

翌日・・・ちょっと驚きです。

昨日与えたエサが、小さくなっているように見えます。

こんなに早く変化があるとは、思っていませんでした!

STEP
2025年8月17日

エサが残っているのかどうかハッキリしませんが、よく見るとまだ消化中のようにも見えます。
よって、2回目のエサをあげるのは、もう少し様子をみてみます。

今回の試験とは関係ないですが、端っこで子株が育っているのを発見しました。
どうして増えたのかは、謎です;;;。
STEP
2025年8月18日
全体の様子
ほぼ消化終了かな?
もう少し様子を見てみます。
新しい葉が立ち上がってきました。
STEP
2025年8月30日
ちょっと大きくなってる?気のせい??
エサを与えた株をよく観察すると、エサが腐って、葉が枯れているものがありました。
こんこっと。

大きいエサを元気のない葉に与えると、ダメなようです。

しかし、他はちゃんと消化しているようで、きれいさっぱりエサが無くなっています。

改めてですが、食虫植物って、本当にエサを消化吸収するのですね。

2度目のエサでーす。おおきくなれよー(笑)。

STEP
2025年9月1日
前回、エサを与えた翌日にはほとんと無くなっていたのですが、
ちょっと信じれなかったので、もう一度確認します。
こんこっと。

やっぱり、昨日あげたエサが、ほとんどなくなってる!
(でも、少し残ってる)

モウセンゴケ、すげー!!!

STEP
2025年9月11日

この日、2つの良いコトと、1つの悪いコトが起こりました。

1つ目の良いコトは、エサをあげている右下の株の大きさが、ハッキリと大きくなっていることです。
2目の良いコトは、エサをあげている株に、ツボミが付いたことです。
中央に、くす玉のような球体が立ち上がるのが見えます。
たぶんツボミです。
1つの悪いコトは、左下の一番大きな株が、突然枯れ始めました。
こんこっと。

原因は、まったく分かりません。

せっかくの比較対象なのに、残念です。

STEP
2025年9月16日
全体の状況です。
エサを与えている株は、ツボミがかなり立ち上がりました。
左下の株は、調子を崩したまま悪化しています。
右下の株に、3回目のエサをあげました。
こんこっと。

花を咲かせるのなら、なおさら栄養がいるもんね!

STEP
2025年9月22日
ツボミに色が付きました。
ピンク色の花のようです。
STEP
2025年9月28日
開花しました。
ピンク色の可憐な花です。
STEP
2025年10月12日

今日で、一旦試験を終了して、結果を見ていきたいと思います。

全景です。
実験の結果、エサを与えた右下の株が一番大きくなりました。
(残念ながら、左下の株は、原因不明で枯れてしましました;;;)
エサを与えた右下の株です。
ずいぶん立派になったものです(笑)。

自由研究のまとめと考察

  1. 2025年8月9日~2025年10月12日までのおよそ2か月間、比較試験を行いました。

  2. その間、3回エサをあげています。

  3. その結果、エサを与えた株は、その他の株と比べて、大きく成長しました。

左:2025年8月9日(試験開始)、右:2025年10月12日(試験終了)
右下がエサを与えた株です。

こんこっと。

こうして見ると、エサの効果は一目瞭然です!

こんなに短期間に、ハッキリと結果が出るなんて、思っていませんでした!!

この通り、モウセンゴケにエサを与えると大きくなったのですが、ここで「なぜエサを与えたら大きくなったのか」を考えたいと思います。

なぜなら「今回の環境では大きくなった」のであって、「エサを与えれば必ず大きくなる」わけではないと思われるからです。

その理由は、先の「食虫植物 進化の迷宮をゆく」にも触れられているのですが、プルチェラは「エサを食べて大きくなった」のではありません。

植物は、動物のように食事をして大きくはなりません。

植物は、あくまで光合成をして大きくなるのであって、水と二酸化炭素から炭水化物を作って大きくなります。

その光合成を後押しするためにエサ(栄養・肥料)が必要になるワケで、光や水や温度が適切でない環境では、いくらエサを与えても大きくならない可能性があるのです。

こんこっと。

植物を育てる上で、重要な視点だと思います。

後日談 ~その後のお世話~

今回実験中に、当初一番大きかった株が、枯れてしまいました。

そのままにしていると腐ってしまうし、よく見ると子株が育っているようなので、枯れた株を取り除いて、子株が大きく育つように手当をしました。

残念ながら枯れましたが、間から子株が育っているのが見えます。
ピンセットで、枯れた葉を取り除いていきます。
オペのようです(笑)。
ウシッ!できたっ!!
根の枯れた部分も取りたかったのですが、根がミズゴケに絡んで持ち上がり、
周りに影響しそうだったので、そのまま残すことにしました。

不思議なのは、なぜ親株が枯れたかも分からないし、なぜ子株が増えているのかも分からないところです。

プルチェラは、種かムカゴ(生長点付近にできる「芽」のようなもの?)で増えると思っていたのですが、亡くなった親株の後に、子株が生えてきたような増え方をしています;;;

こんこっと。

お前は、サルカニ合戦の子ガニかよっ!?!?
まぁ、増えたからいいんだけどね(笑)。

もう少し多くなったら、キミたちにもエサをあげね。

このまま成長を見守りたいと思います。

今日の教訓

ピグミーモウセンゴケ「プルチェラ」に、メダカのエサを与えたら、大きくなりました。

かなりハッキリとした結果なので、「モウセンゴケにメダカのエサを与える」のは、これからのスタンダードになるかもしれません(笑)。

ただし、エサの効果があるのは、「光と水と温度が適切で、貧栄養な状態」ー つまり、食虫植物が最も好む環境の時だと思います。

下手にエサを与えると、枯れてしまうリスクがあるのは変わらないので、ご注意ください。

こんこっと。

しかし、こんこっと。は、これからも時々プルチェラにエサを与えると思います(笑)!

今日はここまで。
ではでは、またね。

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