近年の夏の暑さは異常です。暑さで人もバテますが、植物だってバテてしまいます。

これからは、如何に夏の災害級の暑さをやり過ごすのかが、植物栽培のキーポイントになると思っています。
暑さ対策として、一般的に行われるのが遮光による「葉焼けの防止」ですが、もう一つ気になるのは、鉢の中の温度。鉢の中は常に湿っているため、温度が上がりすぎると、蒸れて根腐れの原因になります。
そこで、鉢の温度上昇防止に何が効果的なのか、いろいろ条件を変えて比較実験を行ってみました。
栽培のヒントになるかもしれませんので、興味のある方は、どうぞv!
実験方法
実験方法は以下の通りです。
- 鉢
直径約8cm、高さ約8cm、黒色のプラスチック製です。
中に、鹿沼土(乾燥)を入れます。 - 測定方法
鉢を炎天下に一定時間放置し、鉢側面(日光が当たる面)の温度を、非接触温度計で測定します。
- 実験日
2024年8月24日(雲がない炎天下です。その日はとても暑かった;;;)


Measボタンを押すと、温度がすぐに測れます。
温度上昇防止の方法
②:右、同じ鉢を2重に重ねる





黒い鉢を重ねても、効果は少ないと思うけど・・;;;
念のためのデータ取りです。
④:右、プラステラ(白)を重ねる





隙間が大きいから、こちらも期待薄?
色の違いは、出るのかな?
⑥:右、プラステラ(白)を重ねて、隙間にパーライトを入れる







2重鉢は、昔から効果があるとされている方法なので、期待できます。
実験ではパーライトを使っていますが、普通に土でも効果があるはずです。
⑧:右、アルミホイルを巻いたプラステラ(白)を重ねて、隙間にパーライトを入れる。







⑧はアルミ+2重鉢+パーライトのフルスペックです!
⑩:右、鉢にアルミ保護シートを巻く


「保温」と言いつつ、発泡素材にアルミが蒸着されているので、熱を遮断してくれることを期待します。







ガーデニングにあるまじき宇宙的なメタリックさです(笑)。
さて、アルミの実力や、如何に?!?!
実験開始!














ずらーっっっ!!(笑)



なお、コンクリートからの照り返しを防ぐために、網かごの上に等間隔に置いて、実験しました。
温度は3回測定します。


実験前後で、外側の鉢の側面温度を測定します。
これを「外側温度」と呼ぶことにします。アルミや2重鉢の側面の温度です。
その後、プラスチック鉢を取り出して、日光に最も当たった向きの側面中央を測定します。
これを「内部鉢温度」と呼ぶことにします。
「内部鉢温度」が低いほど、遮熱効果が高いと言えます。




2重鉢やアルミを取らないといけないので、1回限りの計測になります。



それでは、いってみよー!
実験結果
実験は11:20に開始し、14:15に温度測定をしました。
(一つづつ測定するので、もちろん時間差はあります)


試験結果は下表の通りです。
鉢No. | 開始時(11:20)の外側温度(℃) [A] | 終了時(14:15)の外側温度(℃) [B] | 終了時(14:15)の内部鉢温度(℃) [C] | 遮熱効果 (B-Cの差) (℃) [D] |
---|---|---|---|---|
①:そのまま/比較対象 | 36.1 | 53.2 | 52.8 | 0.4 |
②:同じ鉢を2つ重ね | 36.8 | 54.8 | 49.8 | 5.0 |
③:プラステラ黒を重ねる | 36.7 | 56.2 | 50.0 | 6.2 |
④:プラステラ白を重ねる | 36.6 | 54.8 | 48.7 | 6.1 |
⑤:プラステラ黒を重ねて、パーライト使用 | 37.7 | 57.1 | 53.1 | 4.0 |
⑥:プラステラ白を重ねて、パーライト使用 | 36.1 | 53.4 | 47.6 | 5.8 |
⑦:アルミを巻いたプラステラ白を重ねる | 36.0 | 54.3 | 47.0 | 7.3 |
⑧:アルミを巻いたプラステラ白を重ねて、パーライト使用 | 36.6 | 56.2 | 48.4 | 7.8 |
⑨:アルミホイルを巻く | 36.3 | 55.3 | 46.6 | 8.7 |
⑩:アルミ保護シートを巻く | 35.1 | 55.1 | 46.8 | 8.3 |
よくわからないので、グラフ化します。





なんか、面白い結果がでたぞ!
つまり、終了時の内部鉢温度が低く(青線)、温度差が大きい(オレンジ)方が、遮熱効果が高いと言えます。
これによると、「⑨アルミホイル」の遮熱効果が最強です!
- 「⑨アルミホイル」は、外側温度と内部鉢温度の温度差が8.9℃で、最も遮熱効果が高いです。
- 「⑩アルミ保護シート」を期待してたのですが、「⑨」とほとんど変わりません。
- アルミを使った「⑦、⑧、⑨、⑩」は、それ以外と比べて相対的に良い結果(温度差が大きい)でした。
ただし、アルミホイルを巻いただけの「⑨」の結果が良いので、それ以外を採用する必要はなさそうです。
もう少し細かいところを確認していきます。
- 「①:そのまま」の終了時の「外側温度」と「内部鉢温度」は、同じ場所を2回測定しています。
つまり、0.4℃の温度差は測定誤差です。その程度の誤差はあるとお考え下さい。 - 終了時の「外側温度」について見れば、最も温度が低かったのは、「①」です。
その理由はよく分かりませんが、影響すると考えられる点は以下の通りです。
・表面形状
曲面か平面か。曲面の方が、日の当たり方が不均一になり、熱が入りにくいと思います。
・入熱
日光は鉢の側面だけでなく、上面(鹿沼土)にも当たり、熱が入ります。
・放熱
断熱材は、入熱を遮断しますが、放熱を邪魔する可能性もあります。
※これらのバランスで温度が決まると考えられるため、鉢が曲面で断熱材のない「①」の外側温度が低くなったのかもしれません。知らんけど(笑)。 - 効果があると期待していた2重鉢「⑤、⑥」は、今回の実験では良い結果が得られませんでした。
これは、今回使用した外側の鉢(プラステラ)は、内側の鉢とサイズが近かったので、パーライトの厚さを十分に確保できなかったのが原因かもしれません。
もっと大きな2重鉢を使ったり、湿った土を入れれば、結果は違ったかもしれませんが、大きな2重鉢を使うと、余分に場所を取るデメリットが生まれます。 - 特に「⑤」の結果が悪いですが、あくまで今回の条件での結果とお考え下さい。
- 「③と④」、「⑤と⑥」を比べると、白いプラステラを使用した方が、「外側温度」と「内部鉢温度」が低い傾向があり、白色は熱くなりにくいことが分かります。
あと、データをまとめてて思ったのですが、さすがに50℃越えの温度は高すぎると思い、間違っていないか調べてみました。すると、似た測定をしているサイトがありました。ウッドデッキの実験ですが、直射日光に当たった表面温度であれば、「ありえる数字」であることが分かりました。





目的・内容は異なりますが、同じような実験をしている人がいるんですね(笑)。
まとめ
言いたいことは、1つです!
- 鉢の温度上昇防止には、アルミホイルが最強です(笑)!
ただし、あくまで今回の(極端な)条件での結果です。
また、アルミホイルを巻くと鉢表面の温度上昇を抑えれるかもしれませんが、それが本当に植物に良い影響を与えるかどうかは不明です。



アルミを巻いて温度を抑えたと言っても、表面温度46.6℃は高すぎます。そもそも、炎天下に鉢を置き続ける人もいないでしょうしね・・・(笑)。
しかし、アルミホイルは園芸アイテムの一つになるかもしれないので、植物栽培のヒントにしてもらえればと思いますv。
今日は、ここまで。
ではでは、またね。
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